2011年04月26日

山から吹く風に・・・


「山の神様こっちへこーーい♪
 おいらのとこまでやってこーーい♪」

どこかで聞いたことのあるような懐かしい響きのメロディーを
少年は誰に話すでもなく問い掛けるように口ずさんだ。

すると、ぴゅーーーっと、風が 山 から 吹 いてきた。

「来てくれてありがとう。」
「今日はね、お願いがあるんだ。」


少し躊躇うそぶりを見せながら、意を決したように、

「今日、山の神様のことを友達に話したんだよ。」
「でも、誰も信じてくれなかった・・・。」
「それどころか、僕のこと嘘つきって言うんだよ。」

「だからね、山の神様がいること見せてあげたい・・・。」
「明日、友達をここに連れて来てもいいかな?」

まくしたてるように一気に少年は話した。

「・・・・・」

「うん、ありがとう!」

はたから見ると、何も聞こえてこない気もするが、
少年は緊張から解放されたように納得顔で笑みがこぼれた。

「じゃあ帰るね、またあした。」


翌日、友達を連れてきた少年は、またあのメロディーを口ずさむ。

「山の神様こっちへこーーい♪
 おいらのとこまでやってこーーい♪」

するとどうだろう。
昨日と同じように、ぴゅーーーっと、風が 山 から 吹 いてきた。

「来てくれてありがとう。」

そう話し掛ける少年を横目に、

「おい、何かいるか?」
「いや、誰もいないぞ?」
「そうだよな、いないよな?」

ひそひそ話をしていたと思うと、ひとりがこう言った。

「誰もいないぞ?わかるように見せてくれよ!」
「だよな?みんな?」


(そんなこと言ったって、ここにいるのに・・・)

少年には何が何だかわからなかった。
ここにいるのに、友達はいないと言う。

(山の神様・・・、どうしたらいいんだろう・・・、わかんないや・・・)

そう心の中でつぶやいた。

するとどうだろう。
ぴゅーーーっと、風が 山 から 吹 いてきた。

ひとりの少女が、
「あっ!!!」
っと驚いた顔で指差した。

指差したその先には、さっきまで咲いていなかった山吹の花が、
山 から 吹 いてきた風で、一瞬にして花開いたのだった。

山の神様って、本当はいるのかな・・・?



DVC00332.jpg


「山の神様こっちへこーーい♪
 おいらのとこまでやってこーーい♪」

「山の神様こっちへこーーい♪
 おいらのとこまでやってこーーい♪」







posted by 岡田昌己 at 21:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 気の向くままに・・・ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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