2011年04月18日

つくられた桜吹雪


見慣れた公園

目の前に広がる池の噴水は
元気に水しぶきをあげ

家族連れが遊ぶ広場には
バトミントン、キャッチボールの掛け声がする

池の向こうの花見の人垣はとても賑やかだ

ハトも春を満喫するかのように唄い
思い思いに満喫している




遊歩道を歩いていると
ベンチに座るひとりの女性に目がいく


桜の喧騒から離れ
家族連れの歓声からも距離を置き


物憂げな表情で目線を下げ
思い詰めたように
じっとしたまま動かない

張りつめた緊張はまるでそこだけ異空間のよう




そこへパタパタと
少女が遊歩道の向こうから走って来た


ベンチの女性に 
はぁはぁと息を切らせて近付くと


「ねぇ、ねぇ、お母さん!」
「桜好き?」
「私ね、お母さんに桜吹雪やってあげる!」



そういい終わるか終わらないかのうちに
お母さんの頭上高くに投げつけた


池の向こうから拾ってきたであろう桜の花びら
小さな手に持てるだけ持ち
ふわふわと舞うように投げ上げた桜吹雪

花びらは少女の思いを乗せ
女性の髪にゆっくりゆっくりと舞い落ちた



張りつめた緊張が一気に放たれたのだろうか

女性は少女を抱きしめると
周りを気にすることなく泣きはじめた


「お母さん、苦しいよ」


女性の腕から抜け出した少女は
地面に舞った花びらをもう一度一枚一枚丁寧に拾い


「もう一回やってあげるね」


にこっと笑いながらお母さんに声を掛けた・・・



posted by 岡田昌己 at 19:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 気の向くままに・・・ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック